あれは保護 見ていた だれに わたし 腐葉土まじりの まだあたたかい穴に シマリスの宝 おまつり騒ぎの あれやこれやと呼ばれるうちに 見ていたのだ いや、あの えーと その とざされ ふみかためられ やがて 密室の冬 だれ さがしている 森のなか でも わたしが 知らない 唾ばかりはきだして 声はなんにも そして足音は遠のいていく いつ開かれるかもわからない殻 見ていたのに いや、あの えーと その その先
2012 10 29 27歳の秋 稚菜(2013 uploaded)
千の手でつかまえて おいかけて わたしを 木枯らしにゆびを染めているのでしょう あたためてもらいたいのでしょう わたしに 長雨に不安なのでしょう なみだを散らしているのでしょう わたしへ かえっておいで 欲すればふたたび与えてあげる なのにどうしてあなたはこない どうしてそこで立ちすくんでいるの どうして手をのばしてはくれないの
2012 5 20 26歳の初夏 稚菜
ふれれば弾ける片喰みの実 いま 乳白の種をおさえるのに必死 あの子に必要なのは ひそやかに 土からその身を掘り起こしてくれる誰かの指 あなたがその誰かでないのなら お引き取りください、悪いひととは思わないけど どうか彼女にふれないで
2012 2 21 26歳の冬 稚菜